今回も、第7回・第8回の内容をまとめてレポートとする。

 第7回情報リテラシー講義の内容は、「位置情報で激変した生活習慣」についての講義だった。
 今日まで、ソーシャルメディアというものは耐えず成長を遂げてきたが、今やソーシャルメディアは、一般人が政府などの強力な権力を持つ相手に対して抵抗するための手段となりつつある。その例の1つとして、機密告発サイトWikiLeaksがある。ハッカーがサーバー内の暗号を解読して機密情報を入手し、それらをジャーナリストへと流し、ジャーナリストはWikiLeaksやメディアに対して裏付け取材を行うというものだ。WikiLeaksは政府にとって強大な存在であり、その権力さえも侵されてしまいかねないほどの組織だ。
 WikiLeaksの他にも、強者に抵抗する団体の分かりやすい例としてテロ組織がある。しかし一言にテロ組織と言っても、その内部は組織によって異なる。たとえば、アルカイダはビンラディンというリーダーの下で動いていたが、近年多くの国を騒がせているISISにはリーダーが存在しない。前者は統率者がいる分団結が強いが、リーダーがいなくなってしまえば組織としての活動が非常に困難になる。しかし後者は統率者がいないため、組織の者をいくら拘束してもその活動を止めることは難しい。リーダーの有無がテロ組織には大きな影響を与えているのである
 また、位置情報はネット回線が圏外で繋がっていなくても利用することはできる。これは圏外・機内モード時にも利用することができるということであり、災害等が起きた際の活躍が予想される。この機能はスマホなどの小型端末だけでなくパソコンなどにも応用されており、Wi-Fiで位置情報を特定することが出来る。GPSよりもその精度はやや劣るが、それでも十分な利用価値があると見込まれている。この位置情報特定機能は多くの人に利用されており、日常生活においては近くの店舗やスポットなどを調べる際に多く用いられている。その際「近くの」という検索キーワードが多く用いられているが、「コンビニ」「ラーメン店」など「近くの」というキーワードを入力せずとも自動的に近くの店舗を調べることができる機能も備わっている。
 しかし、ユーザーが「近くの店舗」ではなく「人気のある店舗」を調べたいと思うときもあり、この際には位置情報が特定されていると人気のある店舗を探すことは難しい。そこで、位置情報を把握されずに検索を行う必要があるが、そこで役立つブラウザがTorブラウザである。位置情報はIPアドレスによって分析・把握されるが、Torブラウザを使うことによってIPアドレスを把握されずに、つまり位置情報を漏らすことなく検索を行うことが出来る。検索時に限らず、2ちゃんねるなどへの掲示板への書きこみの際もこのIPアドレスは把握できないようになっており、位置情報を特定されない。位置情報を把握されないようにするためには、Torブラウザを使うことがオススメだろう。
 このような位置情報を使ったサービスはゲームにも応用されており、「コロプラ」や「Ingress」などがある。
 しかし位置情報が絡む機能の中で最も注意すべき機能がカメラ機能である。スマホなどで撮影した写真の中にも位置情報が埋め込まれている場合があり、それらをネット上に公開すると位置情報から個人情報が漏えいする場合がある。これを防ぐためには設定から位置情報サービスをオフにする必要がある。
 位置情報サービスは今では多くのアプリやSNSで利用することができる。LINEやTwitter、Facebookなどで活用することができ、リアルタイムでレストランなどの口コミを投稿することが出来るが、その場合にも位置を特定される恐れがあるので注意が必要である。位置情報を利用した口コミ専門のアプリ「miil」や、SNS「イェルプ」も存在する。今後は位置情報と口コミは切っても切り離せない関係になるだろう
 位置情報機能の登場により便利なアプリやエンターテインメントの幅が広がったが、常に他者から位置を特定される危険性がつきまとう。特にリアルタイムで位置情報を公開し続けていると位置の特定の危険が増すため、位置情報が漏れにくいSNSやアプリを利用する・リアルタイムで位置情報を公開しないなどの工夫が必要である。

 
 第8回講義の内容は、「テレビの衰弱と動画メディア」についての講義だった。
 まずこの講義を受けて気付いた、ひとつ重要な事柄が、文字よりも写真、写真よりも映像の方が情報を伝えやすいということだ。これの分かりやすい事例を以下で紹介したい。
 数ある企業の中で、社長自らが自社の製品やサービスについて語り、売り込む企業は少ない。しかし、社長自らがPRなどの活動を積極的に行い、顔写真などまで公開している企業は株価も上昇傾向にある。
 また、動画を投稿することによって人気が出る人たちまでいる。このような動画を投稿するのによく使われている投稿サイトがYouTubeである。YouTubeは2005年に設立され、翌年にGoogleによって買収された。当初は投稿できる動画の長さは10分だったが、現在では無制限で動画を投稿することが出来る。2010年にはGoogleアドワーズ広告の効果もあり、ずっと赤字だった経営が黒字化した。2013年には月間ユニークユーザー(決まった集計期間内にウェブサイトに訪問したユーザーの数)が10億人を突破した。
 このようにYouTubeは10年の間に急激に成長し、通勤・通学時間に「ガラケーでテレビを見る人々」よりも「スマホでYouTubeを見る人々」が増えていった。まさにテレビの衰弱と動画メディアの発達である。
 中にはYouTubeに動画を投稿することで収入を得て生活している人々、通称ユーチューバーも存在する。投稿者は動画内に広告を埋め込み、閲覧者が広告をクリックすることによってGoogleから投稿者へ支払われるという仕組みだ。ユーチューバーは主に若年層に人気があるが、その人気に憧れて、もしくは影響されて動画を投稿する人々も多々おり、その中には一線を越えて犯罪を犯してしまう者もいるのが問題だ。中には不正に動画再生回数を増やして人気を得ようとするケース(更新ボタンを連打するなど…)もある。そこでYouTubeは、再生回数よりも視聴時間を重視するようになり、最後まで見られた動画が検索結果上位に表示されるようになった。
 2013年には有料チャンネルの配信が開始された。有料チャンネルはクリエイターがYouTubeでコンテンツを配信する方法の1つとして提供されている。この場合には投稿者は、「金を払ってでも見たいと思う動画」を作ることが必要であると思われる。2015年10月には広告が表示されない有料サービス「YouTube Red」の開始が発表された。現在日本では利用できないサービスだが、広告が消えるだけでなく、人気ユーチューバーの限定動画を視聴することができる。しかし、広告によって収入を得ていたユーチューバーにとってはこのサービスの開始は死活問題であり、有料化によってGoogleが得た利益の一部をユーチューバーに回す、などの対策が議論されている。
 このようにさまざまな動画がネット上に公開されているが、私たちのようなクリエイターに関しては「作り手の伝えたいこと」をどのように伝えるかも重要になってくる。アンパンマンのように、作品中では詳しく明示されない「裏テーマ」の設定など様々な表現が必要になってくる。